2011/06/28

制作中


村瀬です。
制作途中の写真です。

これは線画を描いた上に、エアブラシ等で色をおいて、そのうえからさらに白で線を起こしていくという描き方で描いています。

線を描く作業自体は一日で終わったのですが、白く線を抜く作業はその後何日もかかります。その間ずっと、この線に向かい続ける、ということになります。

一見妙な制作法ですが、私はこれを昔の記憶を思い出すことと同じ様な働きがあるもの、と見なしています。
つまり、一瞬の出来事が思い出すことによっていわゆる「思い出」というものになり、少し形を変え(時には美化されながら)繰り返しなぞられる、という記憶の仕組みに似せている、ということです。

人間の記憶は、10あったことを10思い出せるわけではなく、ときにはそれが9.8になったり、10.1になったり、あるいは「十」にすりかわったりしているかもしれません。
そのようなあやふやなものですが、我々はそこから自分のアイデンティティーを見いだしていたりするわけです。

私の制作はそんなようなことをぼやぼやと考えながら、追体験するようにすすんでいきます。
そうしてこれで完成だ、と決断を下すとき、目の前にあるのは妙にくっきりとした、しかしどこかピントのずれた様な感触のあるもの、なにかになる寸前の(ミキサーにかけたけど途中で忘れ去られたジュースの手前みたいなもの)ができていればいいなと思います。

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